出金伝票や入金伝票ってなに?

夕方のニュース番組で、今日が各社の入社式の日だったと知った。そうか、自分が入社してから、もう3年も経ったのだと実感する。大手企業は盛大にセレモニーをするのだろうが、うちのような中小企業は、社長に挨拶をして、先輩社員たちの前でも挨拶して終わり。もうその日から、デスクに座り、できることから仕事をやらされていく。最初の頃は、出金伝票や入金伝票さえ、これってなに?状態だったが、今では経理部長の指示の元、金庫の管理まで任されているから、自分も一応成長しているのだと思う。

元々文学部卒で特に取柄もなかったが、やっとつかんだ内定で入社してみれば、一番イメージから遠かった、経理部の配属になった。学生時代、部活やサークルで会計さえしたことがなかった自分が経理だなんて、社会人になって初めてのゴールデンウィークでは、集まった学生時代の仲間たちにぼやいたものだった。なんで自分が経理なんだ。小さな会社なら、花形部署に行けるのではないかと思っていたのに。そんな風に愚痴った記憶がある。それでも勤務先では真面目に、目の前に与えられた仕事をまず片づけるよう、仕事に慣れるように頑張ってきた。少しずつ仕事がわかってくると、自分の手の中でしっかり完結する仕事に、それなりのやり甲斐なども感じられるようになってきた。

入社して2年目で、出社してまず金庫を開ける仕事を、部長から仰せつかった。金庫のダイヤルナンバーを知っているのは社長と経理部長、そして僕だけだ。鍵の保管場所から鍵を持ち出し、ダイヤルを合わせてから鍵で開錠する。この時の金庫の感覚が、まるで自分のタイムカードを押した時みたいな、仕事を開始する自分の中の、スイッチのような感じがしている。それと同じで、退社前には金庫をしっかり施錠してから退社する。スイッチオフの瞬間だ。こうやって人間は、社会人としての人生を、続けていくものなのだろう。